遺言書を書く最大の目的は、自分の財産を希望どおりに託し、相続トラブルを未然に防ぐことです。また、相続人の負担を軽減し、家族の将来に安心を残すという意味でも、遺言書は非常に重要な役割を果たします。

作成メリット

法律上の原則とその限界

遺言書がない場合、民法の定める「法定相続」に従い、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。しかし、これは次のような問題を生むことがあります。

  • 分けにくい財産(例:不動産)がある
  • 相続人間で考え方が異なり、感情的な対立や紛争に発展しやすい
  • 全員の同意が得られず、手続きが進まない

遺言書があれば、これらの問題を未然に防ぐことができます

<遺言書を書くべき5つの理由>

1. 相続トラブルの防止
相続では「遺産の金額」よりも「不公平感」、「想いの行き違い」が原因で争いが起こります。遺言書で分配の意図を明確に残すことで、相続人間のトラブルを避けることができます。

2. 財産を希望通りに分けるため
遺言書があれば、特定の相続人に多めに残すことや、法定相続人以外(例:内縁の配偶者・介護してくれた子の配偶者・恩人・団体など)に財産を残すことが可能になります。

3. 特定の相続人を保護するため
障がいのある子や経済的に困っている家族がいる場合、その人に多めに財産を残したり、将来に備えて計画的に配慮した分け方をすることが可能です。

4. 相続手続きを円滑に進めるため
遺言書があれば、相続人全員の協議や押印を省略でき、手続きが迅速に行えます。不動産の名義変更や銀行口座の凍結解除もスムーズに進みます。

5. 感謝や想いを伝えるため(付言事項)
遺言書には、法的効力はないものの、家族への感謝の言葉や意思を伝える「付言事項」を記すことができます。これは、相続人が故人の意向を尊重する大きなきっかけとなり、争いを避ける心の支えにもなります。


家族間トラブル予防

  • 家族関係が複雑な場合(再婚、内縁関係、前妻との子どもなど)
  • 相続させたくない人がいる場合
  • 相続人がいない場合:そのままだと財産は国庫に帰属しますが、遺言があれば信頼する個人・団体に残すことも可能
  • 相続税の節税や特例活用をしたい場合:財産の分け方が明確でないと制度の適用が受けられないことがあります

遺言書を書かないリスク

  • 家庭裁判所での調停や審判に発展し、相続手続きが長期化する
  • 預貯金の凍結解除が遅れ、生活費や葬儀費用に支障が出る
  • 不動産の名義変更が滞り、売却や処分が困難になる

まとめ

遺言書は、あなたの意思と家族の未来を守るための「最後のメッセージ」であり、最も有効な相続対策の一つです。
特に不動産を所有している場合や、相続関係が複雑な方は、「いつか書こう」ではなく、「今」書くべき重要な準備です。


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