~相続関係説明図と法定相続情報一覧図の活用~
相続が発生すると、多くの方は不動産や預貯金などの「相続財産調査」や、債権者への対応から取りかかろうと考えます。ところが実務の第一歩は、その前に「相続人を誰と確定するか」です。相続人を誤れば、遺産分割協議や登記・税務申告が無効となり、すべてをやり直さざるを得なくなる危険があるためです。そこで重要となるのが「相続関係説明図」と「法定相続情報一覧図」です。これらは相続人調査の成果を整理・証明し、スムーズな相続手続きを可能にする実務上の必須ツールといえます。

- 重要性と役割
相続関係説明図と法定相続情報一覧図は、被相続人と相続人の関係性を一目で示し、複雑な家族構成や代襲相続、養子縁組、相続放棄の有無などを整理できます。戸籍一式を都度読み解く必要がなくなるため、相続人間での認識共有や誤解防止に役立ちます。
ただし注意すべき点があります。相続関係説明図は便利な整理資料であるものの、戸籍謄本の代わりにはなりません。 金融機関や法務局の手続きでは戸籍一式の提出が求められる場面が多く、説明図だけでは足りないのです。誤解を避けるため、この点を明確に理解しておくことが大切です。
一方、法定相続情報一覧図は戸籍謄本に代わる効力を持つ公的証明書です。法務局が戸籍一式を確認し認証するため、以後の手続きでは一覧図を提出すればよく、戸籍原本を繰り返し提出する必要がなくなります。この違いが実務上の大きなポイントです。 - 双方の特徴と違い
• 相続関係説明図戸籍謄本や住民票を基に作成する家系図形式の資料。形式に決まりはなく手書きでも作れますが、正確な反映が不可欠です。銀行・役所・保険会社での説明や協議の場面で役立ちます。ただし、戸籍謄本の提出を省略できるものではありません。
• 法定相続情報一覧図法務局が交付する公的証明書。相続関係説明図を基に申請書を提出し、戸籍一式を確認してもらったうえで発行されます。以後は不動産登記や金融機関の払戻しなどで戸籍謄本の代替資料として利用可能です。写しは無料で複数交付できるため、相続人に複数の手続きが必要な場合にも大きな利便性があります。 - 作成方法と行政書士の役割
相続関係説明図は、被相続人の出生から死亡までの戸籍、改製原戸籍、相続人の戸籍謄本や住民票を収集し、正確に図示して作成します。形式は自由度が高いものの、戸籍解読や誤記防止には専門的な知識と注意力が求められます。
法定相続情報一覧図は、この説明図を基に法務局に申請します。ここで重要なのは、行政書士が代理人として申請できる点です。依頼者が自ら戸籍一式を整理して法務局に出向く手間を省き、専門家が確実に書類を整えることができます。当事務所でも代理申請に対応しており、安心してお任せいただけます。 - 実用上のメリット
• 金融機関・証券会社:戸籍原本の大量提出を避けられ、原本還付や手続きの迅速化が見込めます。
• 不動産の相続登記:法定相続情報一覧図を提出すれば、複数回の戸籍提出が不要となり、費用と時間を節約できます。
• 遺産分割協議や相続放棄申述:相続人の関係を一覧化できるため協議がスムーズに進み、相続人間の誤解や対立を防ぎやすくなります。 - まとめ
相続手続きの出発点は、遺言書の有無の確認と相続人の確定です。その結果を「見える化」する相続関係説明図と、正式な証明力を持つ法定相続情報一覧図は、相続財産調査や債権者対応を進める前に欠かせない準備です。特に、相続関係説明図は便利な整理資料ですが戸籍謄本の代替にはならず、一方で法定相続情報一覧図は戸籍謄本に代わる強力な証明書となります。
行政書士はこれらを正確に作成し、さらに代理で法定相続情報一覧図の申請も行うことができます。当事務所では、戸籍収集から図面作成、代理申請、金融機関や登記関連の実務支援まで、一貫したサポートをご提供しています。まずはお気軽にご相談ください。相続の最初の一歩を安心して踏み出せるよう、全力でお手伝いいたします。
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