~見直し・書き直しのタイミング5つ~

遺言書は「作っておけば一生安心」というものではありません。むしろ 作成したその瞬間から“内容が古くなり始める”法律文書 といえます。家族の状況や財産は年々変化します。作成時の想いを確実に実現するためには、定期的な見直し(アップデート)が欠かせません。ここでは、遺言書を「書き直すべき5つのタイミング」と、注意点を整理します。…と言っても、毎年必ず書き直す必要があるわけではありません。

1.家族構成に変化があったとき
最も見直しが必要になるケースです。
• 結婚・離婚
• 子や孫の出生
• 相続人の死亡
• 認知・養子縁組
• 相続人との不仲・疎遠
もし家族構成が変わらない前提で作成してしまうと、「指定した相続人が先に亡くなり、財産の行き先が空白になった」「新しく生まれた孫に財産を残すつもりが書かれていない」
といった“想定外の相続”が発生します。

2.財産内容が大きく動いたとき
遺言書に記載した財産が 売却・購入・相続・贈与 などで変化すると、遺言の内容と合わなくなります。
例:
• 自宅を売却したのに「自宅を長男へ相続させる」と書いたまま
• 新たに金融資産や不動産を購入したのに未記載
• 株式や投資信託の銘柄が大きく変動
この場合、記載内容が“実行不可能”となり、相続手続きが混乱します。

3.介護・生前のサポート状況が変わったとき
近年特に増えているのがこのケースです。
• 誰が介護を担っているのか
• 生活援助や送迎をしてくれるのは誰か
• 距離的に近くに住んでいるのは誰か
こうした“実質的なサポート”は、家族間の公平感に直結します。
「介護を頑張ってくれた子に多めに遺したい」、「将来の負担に配慮したい」、その気持ちが遺言書に反映されていないと、争族(争いの相続)につながることがあります。

4.法改正があったとき(近年は頻繁)
相続法・民法・税法は、ここ10年で大きく変わっています。
代表例:
• 配偶者居住権(2020年)
• 自筆証書遺言の方式緩和(2019年)
• 自筆証書遺言の保管制度(2020年)
• 相続登記の義務化(2024年)
以前に作った遺言が、現在の制度と合わなくなっているケースも少なくありません。

5.「今の想い」と内容がズレてきたと感じたとき
遺言は法律文書である前に、“人生のメッセージ”です。時間が経つにつれ、
• 遺したい相手が変わった
• 感謝を伝えたい人が増えた
• 寄付や社会貢献の意識が芽生えた
• 家族の状況に応じて配分を変えたい
という気持ちの変化は自然です。「少し違うかも…」と感じた時点で、すでに見直しのサインです。

◆ 遺言書を見直す一つの目安として
• 自筆証書遺言:2~3年に一度
• 公正証書遺言:5年に一度
• 大きな変化があった年は必ず見直す
遺言は“人生の変化に寄り添う文書”として育てていくものです。

◆ 書き直すときの注意点
• 自筆証書遺言は前後の遺言が矛盾する部分について、新しい遺言が優先される
• 公正証書遺言は、作り直しで確実に最新内容を反映できる
• 法務局の保管制度を利用している場合は「撤回 → 新規保管」が必要
• 付言事項も必ず見直す(気持ちの変化はここに最も現れるため)

◆ まとめ
遺言書は“人生の変化を写す鏡”です。遺言は、あなたの想いを未来へ届けるための大切な準備です。しかし、作成した当時の状況と現在の状況が変わってしまえば、その想いが正しく実現されないことがあります。
だからこそ、
• 家族の変化
• 財産の変動
• 法制度の改正
• 自身の気持ちの変化
これらに応じて、遺言書をアップデートすることがとても大切です。

行政書士しらせ法務事務所では、遺言書の点検・見直し・書き換えのご相談も受け付けています。あなたの想いが確実に家族へ届くよう、どうぞ安心してご相談ください。

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本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。記載には十分配慮しておりますが、法改正等により最新でない可能性があります。具体的なご相談やお手続きは、当事務所までお気軽にお問い合わせください。また、掲載内容に誤りや不適切な表現等がございましたら、お知らせいただけますと幸いです。内容を確認の上、必要に応じて速やかに対応いたします。

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