遺言書を発見した場合、その種類によって「家庭裁判所での検認」が必要となります。とくに、自宅に保管されていた自筆証書遺言(法務局の自筆証書遺言保管制度を利用していないもの)は、検認申立てが「法律上の義務」とされています。検認を経ていない遺言書は、金融機関や法務局で使用できず、実務上ほとんどの相続手続きがストップしてしまいます。本記事では、検認とはどのような手続きか、その流れをわかりやすく整理します。

■ 検認とは?何をする手続きなのか

「検認」は、遺言の内容が有効かどうかを家庭裁判所が判断する手続きではありません。主な目的は次のとおりです。

  • 遺言書がどのような状態で見つかったかを確認する
  • 改ざん・紛失を防ぐため、内容・形状を公的に保全する
  • 相続手続きの前提となる公式記録(検認調書)を作成する

すなわち検認とは、遺言書の「現状確認」と「証拠保全」を行うための手続きです。検認を受けたからといって遺言が有効と確定するわけではなく、有効性の判断は別途の手続きで扱われます。

■ 家庭裁判所での手続きの流れ

ここからは、実際の検認手続きがどのように進むのかを見ていきます。

① 家庭裁判所へ申立て

被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、検認申立書と遺言書原本を提出します。封印された遺言書は開封せずそのまま提出します。申立てできるのは遺言書の保管者または発見した相続人等です。

② 裁判所から相続人へ通知

申立てが受理されると、家庭裁判所は相続人全員へ「検認期日」を通知します。申立人(遺言書の保管者または発見者など相続人である場合)は、検認期日に出席する必要があります。一方、その他の相続人は「出席は任意」で、出欠は各自が判断します。相続人全員が出席しなくても検認手続きは実施されます。

③ 検認期日にて開封・確認

検認期日には、申立人が遺言書原本や印鑑を持参します。封印された遺言書は、裁判官または裁判所職員の面前で開封されます。その後、遺言書の状態・本文・日付・署名押印などが確認され、出席した相続人にも回覧されます。確認内容は「検認調書」として記録されます。

④ 検認済証明書の取得

検認終了後は、申請により「検認済証明書」を取得できます。これは遺言書が正式に検認を受けたことを示す証明書で、預貯金の払戻しや不動産の名義変更などの手続きに必須となります。

■ 検認にかかる期間と注意点

申立てから検認期日までは、通常は数週間〜1か月程度、遅い場合で1〜2か月かかります。裁判所の混雑や書類不備によって前後するため早めの準備が重要です。

相続手続きは、戸籍収集や各種書類作成など、初めての方にとって大きな負担となります。行政書士は、検認申立書・当事者目録・相続関係説明図などの書類作成を中心にサポートできます。戸籍謄本の代行取得や収集も委任を受ければ対応可能です。これにより、検認申立ての事前準備を効率的に進め、家庭裁判所への提出書類を整えるお手伝いができます。

概算所要期間

書類収集・申立て準備1週間~1か月程度(戸籍謄本等の収集状況による)
申立てから検認期日の決定・通知数週間~1か月程度
検認期日の実施1日(手続き自体は10~15分)
検認済み証明書の受領当日~数日後
合計期間遺言書発見から完了まで:おおむね2~3か月程度

■ 検認の申立てに必要な書類(チェックリスト)

手続きを円滑に進めるため、次の書類を準備します。管轄裁判所によって指定が異なる場合があるため、事前の確認が必要です。

  • 検認申立書
  • 当事者目録(家庭裁判所書式)
  • 遺言書原本(封印がある場合はそのまま)
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続関係説明図(専門家による作成支援も可)
  • 申立人の住民票
  • 収入印紙・郵便切手(裁判所指定額)

家庭裁判所によっては、戸籍一式の代わりに「法定相続情報一覧図の写し」を利用できるケースもあります。書類不足や不備があると補正を求められ、その分だけ検認期日が遅れることになります。早めに必要書類を揃え、専門家のサポートを受けながら進めることが大切です。

🔽 シリーズ完結のまとめ(追記部分)

本稿で、シリーズ【相続手続き】は一区切りとなります。

検認手続が完了すると、遺言書は正式な効力を前提に相続実務へ進めることが可能になります。

本シリーズで解説した「相続人の確定」「財産調査」「遺言書の確認」を経て必要な情報がそろえば、いよいよ 遺産分割協議書の作成 に進むことができます。

協議書が整えば、預貯金・不動産・自動車・有価証券などの 財産承継手続き(名義変更・払戻し等) を進めることができ、相続手続きは完了へ向かいます。
当事務所では、相続の全体像を見据えながら、初動から完了まで一貫してサポートいたします。

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