~医療や介護について考えることも終活です~

終活というと、遺言書や相続対策を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、人生の終末期を考えるうえでは、財産だけでなく、自分がどのような医療や介護を受けたいのかという意思を整理しておくことも大切な準備です。
意思を伝えられなくなるのは、認知症だけとは限りません。突然の病気や交通事故、脳卒中などによって、ある日突然、自分の意思を伝えられなくなる可能性もあります。
もし、そのような状況になったらどうなるでしょうか。
家族は「延命治療は望んでいただろうか」「どのような治療を希望していたのだろうか」と、本人の気持ちを推測しながら判断しなければならなくなります。
だからこそ、判断能力が十分にあるうちに、自分の意思を整理し、家族と共有しておくことが大切なのです。
人生会議(ACP)
近年、「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)」という考え方が広まっています。
人生会議とは、将来の医療や介護について、本人・家族・医療・介護の関係者が話し合い、本人の価値観や希望を共有しておく取組です。
年齢や健康状態、生活環境の変化によって考え方が変わることもあるため、一度話し合えば終わりではありません。必要に応じて繰り返し話し合い、その時々の自分の意思を家族や関係者と共有していくことが大切です。
リビングウィルとは (尊厳死宣言)(終末期医療に関する意思表示)
人生会議(ACP)で整理した自分の考えを、書面として残す方法の一つがリビングウィル(尊厳死宣言)です。一般には「リビングウィル」や「尊厳死宣言」と呼ばれることが多いものですが、本記事では、その内容がより分かりやすく伝わるよう、「終末期医療に関する意思表示」という表現も用いることにします。
例えば、
・延命治療についてどのように考えているか
・人工呼吸器や胃ろうについての考え方
・人生の最終段階をどこで過ごしたいか
・誰に医療や介護について相談してほしいか
など、自分の希望を書き残しておくことができます。
もちろん、一度作成した内容を変更することもできます。大切なのは、その時々の自分の考えを記録し、家族へ伝えておくことです。
公正証書で意思を残すという選択肢
リビングウィル(尊厳死宣言)は、公正証書として作成することもできます。
もっとも、リビングウィルには遺言書のような法的効力はありません。そのため、「法的効力がないのであれば、わざわざ時間と費用をかけてまで公正証書にする必要はない」と考える方もいらっしゃいます。
しかし、公正証書として作成することには、大きな意味があります。
公証人は本人と面談し、判断能力や意思を確認したうえで公正証書を作成します。
そのため、「本人が十分な判断能力のもと、自らの意思で作成した」という事実を客観的な形で残すことができます。
医療や介護の場面では、ご家族が「本当に本人はそう望んでいたのだろうか」と迷い、判断に苦しむことも少なくありません。
公正証書として残されていれば、ご本人の意思を尊重しやすくなり、ご家族が後悔や葛藤を抱えることを少なくすることにもつながります。
法的効力だけではなく、「本人が自らの意思で決めたこと」を確かな形で残すことに、公正証書で作成する大きな意義があると言えるでしょう。
公正証書にするかどうかは、それぞれの考え方によります。
公正証書にするかどうかは、それぞれの考え方によります。
しかし、大切なのは、公正証書という形式そのものではなく、自分の意思を家族や医療関係者へ確実に伝えられるよう準備しておくことです。
人生会議(ACP)で話し合い、必要に応じてリビングウィル(尊厳死宣言)として書き残し、自分に合った方法で意思を伝えておくことが、ご自身の希望を尊重し、ご家族が安心して判断できることにつながります。
終活とは、人生の終わりを準備することではありません。
自分らしく生き、自分らしい人生を全うするために、自分の意思を残しておくことが何より大切なのです。
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