~人生の後半に必要となる「事務」と「意思」を整理する~

「終活」は相続対策だけではありません。
「終活」という言葉を聞くと、遺言書の作成や相続対策を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、終活は遺言や相続だけを指すものではありません。
終活とは、将来発生する事務と自分自身の意思や希望を整理し、その実現に向けて準備を行う活動と考えることができます。
また、終活は高齢者だけの問題でもありません。親の将来を心配する子ども世代や、自分自身の老後について考え始める世代にとっても関係のあるテーマです。
実際には、人生の後半には認知症への備え、生活支援、医療や介護に関する希望、亡くなった後の手続き、財産の承継など、さまざまな課題が生じます。
そして、これらは別々の問題ではなく、人生の後半に起こり得る出来事として相互につながっています。その全体を考えることが、終活と言えるでしょう。
人生の後半にはさまざまな課題が生じます
私たちは元気なうちは、自分で判断し、自分で契約し、自分で財産を管理しながら生活しています。
しかし、年齢を重ねるにつれて、病気や身体機能の低下、認知症などによって、これまで当たり前にできていたことが難しくなる場合があります。
また、自分自身が亡くなった後にも、多くの手続きや対応が必要になります。
終活は、こうした人生の変化を見据えながら、将来必要となる準備を整理していくための取組みと言えるでしょう。
終活には「事務」と「意思」の二つがあります
終活を整理するうえで重要なのが、「事務」と「意思」を分けて考えることです。
「事務」とは、誰かが行わなければならない手続きや対応のことです。
例えば、財産の管理や契約手続き、介護サービスや施設利用に関する手続き、亡くなった後の各種届出や相続手続きなどがこれに当たります。
一方、「意思」とは本人の希望です。どのような生活を送りたいのか、どのような医療や介護を望むのか、亡くなった後をどのようにしてほしいのか、財産を誰に引き継いでもらいたいのかといったことです。
実務上、本人の希望があっても、それを実現する準備がなければ家族は対応に困ることがあります。一方で、手続きの準備だけが整っていても、本人の考えが分からなければ家族が本人に代わって判断しなければならない場面が生じます。
終活で大切なのは、「事務」と「意思」の両方を整理しておくことです。
人生の流れに沿って考えることが大切です
終活は、一つの制度や一つの手続きだけを考えるものではありません。人生の後半には、まず日常生活を支えるためのさまざまな生前事務があります。見守りや生活支援、財産管理などもその一つです。
さらに、認知症などによって判断能力が低下した場合には、財産管理や契約手続きをどのように行うのかという問題が生じます。
そして、誰にでも最終的には亡くなる時が訪れます。亡くなった後には、葬儀や納骨、各種契約の解約、遺品整理、相続手続きなどの対応が必要になります。
つまり終活とは、
元気なうちの生活支援
認知症などへの備え
亡くなった後の手続き
財産の承継
という一連の流れ全体を見据えて考えるものなのです。
相続だけを考えても十分ではありませんし、認知症対策だけを考えても十分とは言えません。
人生の後半に起こり得る出来事を全体として整理することが重要になります。
終活とは「未来への準備」
終活という言葉には、「人生の終わりの準備」という印象があるかもしれません。
しかし実際には、これから先の人生を安心して過ごすために、将来発生する事務や自分自身の意思を整理しておく活動と捉えることができます。
また、終活によって本人の希望が明確になることは、ご家族の負担軽減にもつながります。
何か問題が起きてから慌てて対応するのではなく、元気なうちから少しずつ準備を進めていくことが大切です。
その意味で終活は、「人生の終わりの準備」ではなく、「未来への準備」と言えるでしょう。
本シリーズでは次回から、おひとり様の終活を入口として、認知症への備え、成年後見制度、任意後見契約、家族信託、身元保証、医療に関する意思表示、死後事務、そして遺言へと順番に解説していきます。
まずは終活の全体像を知り、ご自身やご家族にとって必要な備えを考えるきっかけとしていただければ幸いです。
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